フレーベル・モンテッソーシのモンテッソーリ教育とルドルフ・シュタイナーのシュタイナー教育の違いは何なのか。
いいとこ取りする方法やおすすめの教具・おもちゃを紹介していきます。
モンテッソーリとシュタイナー教育のいいとこ取りをしたい!

幼児教育に関心のある方なら、モンテッソーリやシュタイナーという言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
どちらも子どもの教育方法ですが、それぞれの特徴を知っている方は少ないでしょう。
この記事では、両者の特徴と違いを知り、それぞれのいいところを上手に取り入れる方法について、ご紹介します。
モンテッソーリ教育とは?

モンテッソーリ教育とは、イタリア初の女性医師である、マリア・モンテッソーリが考案した、子どもの自発的な行動を尊重する教育方法で、世界110ヵ国以上で取り入れられています。
日本では、棋士の藤井聡太さん、卓球の平野美宇さんがこの教育を受けたことで有名です。
モンテッソーリ教育には、2つの大きな特徴があります。
子どもがやってみたいと思う環境を用意
モンテッソーリ教育を実践する施設では、子どもが触ってみたい、やってみたいと思うような教具が揃えられ、子どもはそれを自由に選べる環境が用意されています。
そのような環境の中で子どもたちは自ら選択し、遊んだり、体を動かしたりしながら学び、成長していきます。
一方、大人は子どもの自主性を尊重し、見守ることが大切とされています。
年齢や発達段階に応じた教育
モンテッソーリ教育では、0~6歳までを0~3歳までの前期と3~6歳までの後期に分け、教育を行います。
前期では、赤ちゃんが人間社会へ適応する力を身につけ、後期では、3歳までに吸収したことを整理し、秩序化していく時期とされています。
発達段階に応じた教育により、子どもの可能性を最大限に引き出し、個性を伸ばします。
シュタイナー教育とは?

シュタイナー教育は、オーストラリアの哲学者ルドルフ・シュタイナーの人間感に基づき、個の豊かさを大切にし、個人の能力を最大限に引き出す教育方法です。
俳優の斎藤工さんや村上虹郎さんがその教育を受けたことで有名なシュタイナー教育の特徴を見ていきましょう。
教科書やテストがない
シュタイナーは、教育は子どもが自由な自己決定を行うことができる人間になるための補助であると考え、自主性を重視しているため、授業では教科書を使用しません。
また、テストもなく、テスト結果による評価もないため、他人と比べて劣等感を持たないというメリットがあります。
子どもの成長を7年周期で考える
シュタイナーの考える人間学では、子どもの発達段階を0~7歳、7~14歳、14~21歳の3つに分けて教育を行います。
0~7歳までは「意思」を、7~14歳までは「感情」を、14~21歳までは「思考」を形成することを重視したカリキュラムが用意されています。
自然とのふれあいを大切にする
シュタイナー教育では、自然とふれあう体験やそこから得られる学びを大切にするため、地域性を重視し、田んぼ作りや米作り、家造りなどの体験を行います。
また、日常生活でも自然のものを取り入れた環境作りがなされ、口に入れるものや教具は自然素材のものを使うよう、推奨されています。
モンテッソーリ教育とシュタイナー教育の違いは?共通点はある?

ここまでに、モンテッソーリ教育とシュタイナー教育の特徴についてご紹介しましたが、どのような違いや共通点があるのだろうと思われた方も多いと思います。
そこで、モンテッソーリ教育とシュタイナー教育の違いと共通点について、それぞれご紹介していきます。
モンテッソーリ教育とシュタイナー教育の違い
モンテッソーリ教育の創始者は医師あり、シュタイナー教育の創始者は哲学者であることから、子どものどのような力を伸ばすかという点で大きく異なっています。
モンテッソーリ教育の原点は、知的能力にハンディキャップを抱える児童に教育を施し、知的水準を上げることにあったため、「知能」を伸ばすことに重点を置いています。
一方、シュタイナー教育では、頭と心と体のバランスの取れた人間の育成を目指しているため、「感性」を伸ばすことに重点を置いています。
モンテッソーリ教育とシュタイナー教育の共通点
モンテッソーリ教育とシュタイナー教育には、主に次の2つの共通点があります。
- 子どもの個性や自主性を尊重する
- 個々の発達段階に応じた教育を行う
モンテッソーリ教育もシュタイナー教育も、日本の義務教育のように、皆が一律に同じことができるようになることを求められることはなく、一人ひとりの個性を尊重した自由な教育方法であると言えます。
モンテッソーリ教育とシュタイナー教育のいいとこ取りをする方法

前述のとおり、モンテッソーリ教育とシュタイナー教育では、子どもの自主性を重んじる点では共通していますが、伸ばすことのできる力が異なります。
そのため、ご家庭で取り入れる際には、お子さんの成長や性格に応じて、それぞれの教育方法のいいとこ取りをするのがおすすめです。
ここでは、ご家庭でも取り入れやすい3つの方法をご紹介します。
子どもに選ぶチャンスを与える
小さな頃から、自分で選ぶという経験を積み重ねていくと、自分で考え、判断する力が身につきます。
赤ちゃんの頃はAとBといった少ない選択肢から選ばせ、大きくなるにつれて、徐々に選択肢を増やしていくといいでしょう。
先に正解を教えない
子どもが出した答えが間違っていると、大人はつい正解を教えたくなるものですが、これでは子どもが自ら考える機会を奪ってしまいます。
大人は子どもが正解にたどりつけるようサポートし、子どもから「教えて」と言われるまではじっと見守ることが大切です。
自然とふれあう機会を作る
小さな子どもであれば、一緒に散歩をしながら、植物や生き物を見つけたり、少し大きくなってからは家の庭で花や野菜などを育てたりするなど、日常的に行っていることも自然ととふれあう機会となります。
米作りやキャンプなどとなると、ハードルが高くなりますが、ご家庭でも簡単に取り入れやすいものから挑戦してみるといいでしょう。
モンテッソーリやシュタイナー教育を活かせる教具・おもちゃ

ご家庭でモンテッソーリ教育やシュタイナー教育を取り入れたい方のために、おすすめの教具やおもちゃ5選をご紹介します。
円柱さし【対象年齢1~3歳】
大きさの異なる穴にピッタリの大きさの円柱を入れる、モンテッソーリ教育では定番のおもちゃです。
穴と円柱の大きさや形を見比べて、ピッタリはまる円柱を見つけることで、大きさを見分ける感覚を鍛えられる他、指でつまむ練習にもなります。
ピンクタワー【対象年齢2歳半~】
1cm刻みで大きさの異なる立方体型の積み木で、大きいものから順に積み重ねると、タワーになる、モンテッソーリ教育で使われる教具です。
ピンクタワーを使うことで、次の2つの力が身につくと言われています。
- 大きい、小さいの概念を理解する
- 積み木を目で見て、指でつまむことにより、大きさの感覚を覚える

ひもとおし【対象年齢2歳~】
ひもとおしには、穴のあるおもちゃやビーズなどにひもを通すものや穴の開いたフェルトにひもを通してポーチなどを作るキットなど、子どもの年齢や興味に合わせて選べる様々なタイプがあります。
ひもとおしを通して、集中力が養われ、小さな穴にひもを通す作業により、手先が器用になる効果もあると言われています。

雑音筒【対象年齢3~5歳】
コーヒー豆やお米、ガラス製の玉など、様々な材料が入った円筒を振り、音の強さの違いを聴き分けるおもちゃです。
音の強さが同じものを見つけたり、音の強さの順に円筒を並べたりといった遊び方ができます。
円筒を入れるための箱も付いているため、片付けの練習もできます。
蜜ろうクレヨン【対象年齢2歳~】
自然素材で作られた蜜ろうクレヨンは、シュタイナー教育の理念に基づいて作られた教具の1つです。
シュタイナー教育では、白黒より様々な色を見ている時の方が子どもの心が豊かになると考えられているため、小学校では文字を書く時も色のあるクレヨンや色鉛筆を使うという学校もあるそうです。
子どもに合った教育法を活用しよう
モンテッソーリ教育もシュタイナー教育も、子どもの個性を尊重し、自主性を促す教育方法のため、子どもが「生きる力」を育むことができます。
しかし、子どもは一人ひとり成長のペースや性格、興味関心も異なるため、すべてを完璧に取り入れることが効果を生むとは限りません。
子どもの様子をよく観察し、子どものペースに合わせて取り入れていくといいでしょう。
モンテッソーリ教育に関する記事一覧
モンテッソーリ教育に関する以下の記事もぜひチェックしてみてくださいね!